家で抹茶を点ててみたい、と思って道具を調べると、思ったより品目が多くて止まってしまうことがあります。茶碗、茶筅、茶杓、茶こし、茶巾、棗、建水、柄杓……。
でも、一服飲むために買わなければいけないものは、二つだけです。あとは台所にあるもので足りるか、必要になってから足せます。何をどの順で買うかに絞って並べます。
点て方そのものは薄茶の点て方に、抹茶の選び方は抹茶の選び方にまとめました。
まず二つ|茶筅と、茶筅が振れる器
最初に買うのは、この二つです。
茶筅(ちゃせん)。これだけは代わりがききません。抹茶は水に溶けるのではなく、湯のなかに散らして浮かせる飲みものなので、細い竹の穂で細かくかき混ぜる必要があります。穂の数や竹の種類ははじめての茶筅の選び方にまとめました。はじめは数の多いもの一本で十分です。
器。茶筅を振る動きができる広さが要ります。底が平らで、口が広いもの。抹茶茶碗を買うなら家で使う抹茶茶碗の選び方を見てください。ただ、ここは急がなくてもよく、家にある器で始められます(次の節で書きます)。
つまり、最初に必ず要るのは茶筅と抹茶だけです。器は家のもので代用して、気に入った茶碗は後からゆっくり選ぶ、という順番で困りません。
家にあるもので代用できるもの
台所にあるもので置きかえられるのは、だいたいこのあたりです。
| 本来の道具 | 代用できるもの | ひとこと |
|---|---|---|
| 茶碗 | 口の広い鉢、どんぶり、スープカップ | 底が平らで、茶筅を振って手がぶつからない広さがあるもの |
| 茶杓(ちゃしゃく) | 小さじ | 小さじ山盛り1杯が、ひとすくいのおおよその目安になります |
| 茶こし | 台所の茶こし、粉ふるい | 抹茶のかたまりをほどくためなので、目が細かければ何でも |
| 茶巾(ちゃきん) | 清潔なふきん | 茶碗の水気を拭くためのものです |
| 棗(なつめ) | 買ってきた抹茶の缶のまま | 移し替えなくて構いません |
棗と茶杓を道具として選ぶ話は棗(なつめ)と茶杓、家で使うなら何を選ぶかにまとめています。家で飲むぶんには、缶と小さじで通せます。
代用がきかないもの、気をつけたいもの
茶筅の代わりに金属の泡立て器は、おすすめしません。混ざらないわけではありませんが、茶碗の内側を傷めます。釉薬(ゆうやく)に細かい傷が入ると、そこに茶渋が残ります。
背の深いマグカップも向きません。茶筅の先が底に届いても、手を動かす横幅がないので、振り切れずにだまが残ります。
**くせ直し(茶筅たて)**は、最低限の道具には入りません。使う・使わないの考え方そのものが分かれる道具です。茶筅を長持ちさせる|くせ直しを使う・使わないに整理しました。
電動のミルクフォーマーで抹茶を混ぜる方法も見かけます。泡は立ちますが、お稽古の手の動きとは別のものです。お稽古の復習をしたいのなら、茶筅を振ってください。
買い足す順番
二つで始めたあと、足していくなら次の順がおさまりやすいです。
- 茶こし……だまが気になってきたら。ふるってから点てると口当たりが変わります
- 茶巾……ふきんでも足りますが、麻の茶巾は水切れがよく、絞りやすいです
- 茶杓……小さじで足りますが、竹の一杓は量が体で覚えられます
- 抹茶茶碗……ここまで続いたら、好きなものを選ぶ番です
- 棗……人に出すようになってから考えればよいものです
上から順に、あると便利な度合いが高い順です。1つ試すたびに一服ぶんの手間が減っていきます。
お稽古用に買うときは、話が別です
ここまでは「家で自分のために一服点てる」前提です。お稽古に持っていく道具をそろえるのなら、話がまったく変わります。
お稽古で自分が用意するのは帛紗(ふくさ)・扇子・懐紙・菓子切りといった小物が中心で、茶碗や茶筅は教室のものを使うのが一般的です。そして小物は、流派によって色や寸法の決まりがあり、さらに教室ごとに先生の指定があります。家用に選ぶ基準では選べません。
流派ごとに最初にそろえるものは裏千家・表千家・武者小路千家の記事にそれぞれまとめました。買う前に先生に「自分で用意しますか」と一度聞いてください。
まとめ
- 最初に必ず買うのは茶筅と抹茶だけ。器は家のもので代用できる
- 茶碗は口が広くて底が平らなもの。鉢やどんぶりでも点てられる
- 茶杓は小さじ、茶こしは台所のもの、茶巾はふきん、棗は缶のままで足りる
- 茶筅の代わりに金属の泡立て器は使わない(茶碗の内側を傷めます)
- 買い足すなら、茶こし → 茶巾 → 茶杓 → 茶碗 → 棗の順がおさまりやすい
- お稽古用の道具は流派と先生で決まりが違うので、家用とは分けて考える