抹茶を買おうとお店の棚やネットの一覧を見ると、小さな缶がずらりと並んでいます。どれも同じ緑色なのに、名前だけが違う。これでは選べないという声をよく聞きます。
この記事では、缶や袋のどこを見れば選べるのかを順に見ていきます。「茶道用」と「ラテ用・製菓用」の違いは茶道用とラテ用の抹茶は何が違う?にまとめたので、ここでは繰り返しません。茶道用のなかから一缶を選ぶ話です。
缶に書いてあることを、順に見る
抹茶の缶や袋には、だいたい次の3つが書かれています。見る順番を決めておくと迷いません。
- 用途の表示……「濃茶用」「薄茶用」「濃茶・薄茶用」「飲用」「製菓用」など。まずここを見ます
- 銘(めい)……そのお茶につけられた名前です。商品名の中心になっている部分です
- 内容量……20グラム、30グラム、100グラムなど
迷ったときに効くのは1つめの用途表示です。「製菓用」と書かれたものはお菓子に使う前提なので、そのまま点てて飲むなら避けます。
「飲用」と書いてあれば、そのまま点てて飲めるお茶です。茶道用の棚にあるものはほぼこれにあたります。
「昔」と「白」|銘でだいたい見分けられる
用途表示がない、または分かりにくいときの手がかりが銘です。
販売店の解説では、濃茶に向く銘には「昔(むかし)」の字がつくものが多く、薄茶に向く銘には「白(しろ)」がつくものが多いという傾向が紹介されています。「〇〇の昔」なら濃茶寄り、「〇〇の白」なら薄茶寄り、という見方です。
ただ、これはあくまで傾向です。この字をつける決まりがあるわけではありませんし、なぜ「昔」と「白」なのかという由来は、調べたかぎりはっきりした説明が見つかりませんでした。銘だけで決めず、用途表示といっしょに見るのが確実です。
濃茶用と薄茶用は、何が違うのか
濃茶(こいちゃ)と薄茶(うすちゃ)は、同じ抹茶を濃さだけ変えたものではありません。使う抹茶そのものが違います。
濃茶は、たっぷりの抹茶を少しのお湯で練るように点てます。一服あたりの分量の目安として、薄茶が2グラム弱、濃茶はその倍ほどという数字が紹介されています。それだけ濃く出すので、渋みの出にくい上等な抹茶が使われます。質が下がると、濃茶にしたときに渋みが強く出てしまうからです。
辞書的な説明では、濃茶に使う抹茶は古木の若芽から作られ、色つや・風味ともに薄茶用より濃厚とされています。
いっぽう薄茶は、使う抹茶の幅が広く取られています。お茶碗の選び方なども、濃茶にくらべて自由とされる場面が多いです。
濃茶用で薄茶を点ててよいか
よくある疑問です。結論から書くと、薄茶に濃茶用の抹茶を使うことはあります。販売店の解説にもそう書かれています。上等なものを薄く点てるので、味の面で困ることはありません。
逆向き、つまり薄茶用の抹茶で濃茶を練るほうは、あまりすすめられません。濃く出すと渋みが立ちやすいためです。
お稽古で使う抹茶は、先生が銘を指定することがあります。流派によっても、教室によっても、ここは変わります。お稽古に持っていくつもりで買うなら、先に先生に確かめてください。家で飲むぶんは自由に選んで構いません。
家で一服楽しむだけなら、薄茶用で十分です。
はじめの一缶は、量で選ぶ
用途を決めたら、最後は量です。ここでいちばん多い失敗が、大きい缶を買って使いきれないことです。
抹茶は開けたときから風味が落ちていきます。缶や袋の賞味期限は開ける前の期限なので、開けたあとは期限に関わらず早めに使うことになります。くわしくは開けたあとの抹茶、どう保存する?に書きました。
家で週に何回か点てる程度なら、20グラムから30グラムくらいの小さな缶が扱いやすいです。足りなければまた買えます。ふるってから使うと粉のかたまりがほどけて点てやすくなるので、小さな茶こしがひとつあると楽です。点て方は薄茶の点て方にまとめています。
まとめ
- 缶は「用途の表示 → 銘 → 内容量」の順に見る
- 「製菓用」はお菓子用。そのまま点てて飲むなら「飲用」と書かれたものを
- 銘につく**「昔」は濃茶寄り、「白」は薄茶寄り**という傾向があるが、決まりではない
- 濃茶用は渋みの出にくい上等なもの。薄茶に濃茶用を使うことはあるが、逆はすすめられない
- お稽古用の抹茶は先生が銘を指定することがあるので、買う前に確認する
- 家で楽しむなら薄茶用の小さな缶から。開けたら早めに使いきる