抹茶と茶筅(ちゃせん)を買ったものの、いざ点ててみると粉が溶けきらない、泡が立たない、ざらつく——はじめはたいてい、そうなります。
原因のほとんどは、湯の量と温度、そして茶筅の動かし方にあります。この記事では、その3つを中心にまとめます。
ここに書くのは、家で一服飲むための手順です。お稽古で習うお点前とは別物だと思ってください。お点前には道具の清め方から置く位置まで決まりがあり、流派と先生によって違います。お稽古では、必ず先生の教えるとおりにしてください。
用意するもの
最低限、これだけあれば点てられます。
- 抹茶:薄茶用のもの
- 茶碗:茶筅が振れる広さのあるもの
- 茶筅
- 茶杓(ちゃしゃく):抹茶をすくうもの。小さじで代用もできます
- 茶こし:ダマを防ぐために
- 茶巾(ちゃきん)か、きれいなふきん:茶碗を拭くため
茶碗の選び方は家で使う抹茶茶碗の選び方に、茶筅の選び方と手入れははじめての茶筅の選び方にまとめました。
下ごしらえ|茶碗を温め、抹茶をふるう
点てる前に、2つだけやっておきます。ここを飛ばすと、だいたい失敗します。
茶碗を温める:茶碗に湯を注いでしばらく置き、茶筅の穂先を浸します(茶筅通し)。穂がしなやかになり、茶碗も温まります。湯を捨てたら、茶巾で中の水気をしっかり拭き取ります。水が残っていると、抹茶がそこで固まります。
抹茶をふるう:茶こしで抹茶をふるってから茶碗に入れます。保存中に少し固まっていても、ふるえば戻ります。この一手間で、ダマがほとんど出なくなります。
抹茶と湯|量と温度
いよいよ本題です。
抹茶の量:茶杓で2杓ほど、小さじなら軽く1杯ほどが目安です。濃いのが好きなら増やします。
湯の量:60ml前後から試してみてください。多すぎると薄く、少なすぎると茶筅が動かしにくくなります。慣れたら好みで加減します。
湯の温度:ここがいちばん効きます。沸騰したての湯は使いません。沸かした湯を一度別の器に移すか、少し置いて、80℃前後に落ち着かせてから注ぎます。
| こうなります | |
|---|---|
| 熱すぎる湯 | 苦みと渋みが強く出ます |
| ぬるすぎる湯 | 香りが立たず、泡も立ちにくくなります |
温度計があると確実ですが、なくても「沸かしてから1〜2分置く」「湯冷ましに移す」でだいぶ近づきます。
茶筅の動かし方
ここで多いのが「混ぜようとしてしまう」ことです。茶筅は、混ぜるのではなく振ります。
- 茶筅を茶碗の底につけ、まず静かに粉と湯をなじませます
- 手首を使って、前後にすばやく振ります。「m」の字を書くようなイメージです
- 腕ではなく手首だけを動かします。腕から動かすと疲れるうえ、こぼれます
- 茶筅の先が茶碗の底に強く当たらないよう、少し浮かせて振ります
- 表面に泡が立ってきたら、茶筅をゆっくり大きく回し、大きな泡をつぶします
- 最後に中央で「の」の字を書くように持ち上げ、静かに抜きます
コツは手首をやわらかく、速く小さくです。力を入れるほど泡は立ちません。
うまくいかないときは、順に見直してください。ダマが残る→ふるっていない、または茶碗が濡れていた。泡が立たない→湯が多すぎるか、腕で動かしている。苦い→湯が熱すぎる。
泡の立て方は、流派で違います
ここは知っておくと面白いところです。どのくらい泡を立てるのが良いとされるかは、流派によって違います。
- 裏千家:全体にきめ細かい泡を立て、表面をふんわり覆う点て方と言われます
- 表千家・武者小路千家:泡を立てすぎず、水面の一部を残す点て方と言われます
つまり「泡が多いほど上手」というわけではありません。そして同じ流派のなかでも、先生によって教え方は違います。
家で飲むぶんには、どちらでも構いません。自分がおいしいと思う点て方を見つけるのがいちばんです。お稽古に通っているなら、習ったとおりに点てる練習として使ってください。
まとめ
- これは家で飲むための手順。お点前の作法は先生の教えるとおりに
- 茶碗は温めてから、水気をしっかり拭き取る
- 抹茶は茶こしでふるう。ダマのほとんどはこれで防げる
- 抹茶は茶杓2杓ほど、湯は60ml前後、温度は80℃前後から
- 沸騰したての湯は使わない。苦みが強く出る
- 茶筅は混ぜるのではなく、手首で前後に速く振る。腕は動かさない
- 最後は大きく回して泡を整え、「の」の字を書いて抜く
- 泡をどれだけ立てるかは流派と先生で違う。家では好みで構わない