家で抹茶を点てるようになると、次にほしくなるのが茶碗です。
ところが売り場をのぞくと、値段も形も驚くほど幅があります。「どれを選べばいいのか」で止まってしまう人が多いところです。この記事では、家で毎日使うという前提にしぼって、見るべきところを整理します。
お稽古用と、家で使うものは分けて考えていい
まず、肩の力を抜いていいところから。
お稽古やお茶席で使う茶碗には、季節や格を考えた選び方があります。流派によっても、季節ごとに使う形が違います。お稽古用に買うなら、先生に相談してからにしてください。
一方、家で自分のために点てる一服なら、好きなものでかまいません。選ぶ基準も「格」ではなく、点てやすさと扱いやすさで十分です。
はじめの一碗は、高価なものでなくて大丈夫です。毎日使ううちに「もう少し広いほうがいい」「この重さが好き」と自分の好みが見えてきます。二つ目からは、それを手がかりに選べます。
大きさ|茶筅が振れる広さがあるか
家で使う茶碗で、いちばん大事なのがこれです。
抹茶は茶筅を前後に振って点てます。茶筅が底で気持ちよく動く広さがないと、粉が溶けきらず、外にこぼれます。
見るのは次の2つです。
- 口の広さ:手を入れて茶筅を振れるだけの余裕があるか。狭い器だと手首が窮屈になります
- 底の形:底が平らすぎると茶筅の先が当たり、角が立っていると粉が残ります。ゆるやかに丸い底が点てやすい形です
深さも関わります。浅すぎると振ったときに飛び散り、深すぎると茶筅が届きにくくなります。
ふだん使っているご飯茶碗やスープカップで代用する人もいます。試してみて、茶筅が振りにくいと感じたら、そのときに専用のものを探せば十分です。
重さと、持ったときの感じ
茶碗は、両手で包むように持っていただきます。持ったときに重すぎないかは、点てやすさ以上に飲み心地を左右します。
厚手の器はどっしりして安定しますが、両手で持つと重く感じます。薄手は軽い代わりに、熱が手に伝わりやすくなります。
もうひとつ見ておきたいのが高台(こうだい)、底の輪になった部分です。ここがしっかりしていると、置いたときにぐらつきません。手に取ったとき、指のかかりもよくなります。
店頭で選べるなら、持ってみるのがいちばんです。通販なら、重さが書かれているものを選ぶと目安になります。
洗いやすさと、手入れ
毎日使うなら、ここは見逃せません。
**磁器(白くて硬い器)**は水を吸わず、汚れが落ちやすいので扱いが楽です。はじめの一碗としては、いちばん気をつかわずに済みます。
陶器(土もの)は水を吸います。萩焼などに見られる貫入(かんにゅう)——釉薬に入った細かいひび——には茶渋が入り、使ううちに色が変わっていきます。これを味と見る人も多いのですが、気になるなら磁器のほうが向いています。
洗うときの基本は共通です。
- 洗剤は控えめに、ぬるま湯でやさしく。土ものは洗剤の香りを吸うことがあります
- たわしでこすらない。釉薬に傷がつきます
- よく乾かしてからしまう。湿ったまま重ねると、においやカビのもとになります
食洗機と電子レンジは、基本的に避けます。 とくに金や銀の絵付けがあるものは電子レンジに入れられません。使えるかどうかは商品の表示を確かめてください。
季節で変わる形も、知っておくと楽しい
お茶の世界では、季節によって茶碗の形が変わります。
- 平茶碗(ひらぢゃわん):浅く広い形。お茶が早く冷めるので、暑い季節に使われます
- 筒茶碗(つつぢゃわん):深くて細めの形。冷めにくいので、寒い季節に使われます
家で使うぶんには、どちらも「必ず揃えるもの」ではありません。ただ、夏に平茶碗で飲むと本当に涼しく感じられるので、二つ目、三つ目を選ぶときの楽しみになります。
なお、季節ごとにどの茶碗を使うかは、流派と先生によって考え方が違います。お稽古で使うものは、その教室のならわしに従ってください。
まとめ
- 家で使う茶碗は、格より点てやすさと扱いやすさで選んでよい
- いちばん大事なのは茶筅が振れる広さ。底はゆるやかに丸いものを
- 両手で持つので、重すぎないこと。高台がしっかりしていると安定する
- 手入れが楽なのは磁器。陶器は貫入に茶渋が入り、色が育っていく
- 洗剤は控えめに、たわしは使わず、よく乾かしてからしまう
- 食洗機・電子レンジは基本的に避ける。金銀の絵付けは電子レンジ不可
- 夏は平茶碗、冬は筒茶碗。家では必須ではないが、二つ目からの楽しみに
- お稽古用に買うときは、先生に相談してから