お茶会のお誘いを受けて、いちばん不安なのは「何をどの順番でするのか、まったく想像がつかない」ことではないでしょうか。
作法を覚えていないことより、流れが見えないことのほうが人を不安にします。この記事では、はじめての人が出ることの多い大寄せ(おおよせ)のお茶会を例に、着いてから帰るまでを順に追います。
ここに書くのは、あくまで大きな流れです。細かい作法は流派と教室、そしてその日の席によってかなり違います。所作をこの記事で覚えようとしないでください。当日は、前の人の動きにならい、迷ったら案内の方に聞けば大丈夫です。それがいちばん失礼のない振る舞いになります。
着いてから、席に入るまで
1. 受付をする
会場に着いたら、まず受付です。名前を書き、会費があればここで納めます。お茶券(席札)を受け取ることが多いので、なくさないように持っておきます。
2. 荷物を預け、身支度を整える
大きな荷物はここで預けます。席には、小さなバッグだけを持って入ります。
このタイミングで白い靴下か足袋に履き替え、指輪や腕時計を外します。髪が長い人はまとめ直します。持ち物と服装の考え方は初釜に呼ばれたときの持ち物と服装にまとめました。お茶会も同じ考え方で用意できます。
3. 待合(まちあい)で待つ
席の順番が来るまで、待合と呼ばれる場所で待ちます。ここに掛物などが飾られていることもあるので、静かに眺めながら待ちます。
人数がまとまると案内があり、席へ移ります。
席に入ったら
案内にしたがって部屋に入り、空いている席から順に座ります。どこに座るか迷ったら、係の方が教えてくれます。
座ったら、まず正面の掛物(かけもの)と、床の間の花を見ます。何が飾られているかを眺めるのも、お茶会の楽しみのひとつです。
しばらくすると、席主(せきしゅ)から挨拶があり、お点前がはじまります。
ここから先は、静かに見ていれば大丈夫です。 お点前をする人の手元を眺め、道具の様子を見て過ごします。話し声は控えめに。
正座がつらい人は、座る前に係の方へ一声かけておくと、負担の少ない席に案内してもらえることがあります。足をくずしてよい場面があるかも、そのとき聞いておけます。工夫は正座がつらいときにできることにまとめました。
お菓子とお茶をいただく
4. お菓子が回ってくる
菓子器が回ってきたら、次の人に「お先に」と挨拶をして、自分の分を取ります。主菓子なら懐紙にとって菓子切りで、干菓子なら手でいただきます。
詳しくは主菓子と干菓子はどう違う?にまとめました。お菓子はお茶より先にいただくのが基本です。
5. お茶が運ばれてくる
自分の前にお茶碗が置かれたら、次の人に「お先に」と会釈をします。
いただくときの所作——茶碗を何度回すか、どう持つか——は、流派によって違います。ここは前の人の動きを見るのがいちばん確実です。飲み終わったら、口をつけたところを指でぬぐい、その指を懐紙で押さえます。
懐紙は必ず持っていきます。懐紙(かいし)の使い方と選び方もあわせてどうぞ。
拝見と、席を出るまで
6. 道具を拝見する
お茶が行き渡ると、使われた道具を間近で見せていただく時間があります。茶入や茶杓、茶碗などが回ってくるので、畳の上に直に置かず、両手で低く持って眺めます。
このとき、指輪や時計をしていると道具を傷つけます。外しておく理由がここにあります。
7. 席主との問答
席主に「お道具は」と尋ね、席主が答える、というやりとりがあります。これはお客側の代表(正客=しょうきゃく)がする役目なので、はじめての人は聞いているだけで構いません。
8. 席を出る
挨拶をして、入ったときと同じように静かに退出します。複数の席がある会では、次の席へ移ります。
全部の席をまわったら、預けた荷物を受け取って終わりです。帰りに受付で一声かけて帰ると気持ちよく終われます。
当日、覚えておくこと
流れが分かったところで、最後に3つだけ。
- 分からなかったら、前の人を見る。 これで八割がたは間に合います
- それでも分からなかったら、小声で係の方に聞く。 はじめてだと伝えておけば、親切に教えてもらえます
- 所作を間違えても、誰も責めません。 お茶会は試験ではありません
細かい作法は、流派でも教室でも、その日の席の性格によっても変わります。覚えて臨むものではなく、通ううちに身につくものです。はじめての一回は、場の空気を味わうだけで十分です。
まとめ
- 流れは、受付 → 荷物を預ける → 待合 → 席入り → お菓子 → お茶 → 拝見 → 退出
- 受付で会費とお茶券。席には小さなバッグだけ持って入る
- 靴下の履き替えと、指輪・時計を外すのは入る前に
- お菓子はお茶より先。主菓子は菓子切り、干菓子は手で
- 茶碗の扱いは流派で違う。前の人の動きにならうのが確実
- 拝見では道具を畳に直に置かず、両手で低く持つ
- 席主との問答は正客の役目。はじめての人は聞いていればよい
- 迷ったら前の人を見る、係の方に聞く。間違えても誰も責めません