茶道を習おうか迷っている人から、いちばんよく出てくる心配が「正座ができないこと」です。体験に行ってみたものの、足がしびれてしまって、続けられるか自信をなくした、という声もよく聞きます。
正座は、慣れの部分もあれば、体格や膝の具合でどうにもならない部分もあります。この記事では、我慢する以外にできることを、座っている間の工夫から、教室への相談の仕方までまとめます。
つらいのは、あなただけではありません
お稽古の場では、みんな平気な顔で座っているように見えます。けれど、しびれと付き合いながら座っている人は少なくありません。
長く続けている人は、我慢強いというより、自分が楽になる座り方の癖を見つけていることが多いようです。少しずつ座っていれば楽になる部分もあります。
一方で、膝や足首を痛めている人、座った姿勢が体に合わない人もいます。痛みが続くときは我慢せず、お医者さんに相談してください。
座っている間にできる小さな工夫
座っている最中にできることが、いくつかあります。
- 足の親指の重ね方を、ときどき組み替える:重なりを入れ替えるだけで、当たる場所が変わります
- 体重を左右にほんの少し動かす:傾くほど動かすのではなく、気づかれない程度に
- 背すじを伸ばして、腰から座る:前や後ろに崩れると、かえって足に重みがかかります
ただし、どこまで動いてよいかは、流派と先生によって考え方が違います。お点前の最中と、待っているときとでも変わります。動いてよい場面かどうかは、先生に確認しておくと安心です。
しびれたまま、あわてて立ち上がらないこと。転んでご自分がけがをするだけでなく、お道具を倒してしまうことがあります。立つ前に一度、手をついて体を支え、足の感覚が戻るのを待ちます。
服装と足元で変わること
意外と効くのが、服装です。
細身のパンツやタイトスカートは、膝を曲げたときに布がつっぱり、正座をつらくします。ゆったりした、膝が動かせる服を選ぶだけで、だいぶ違います。
足元も同じです。厚手すぎる靴下は足首の曲がりを邪魔します。足指が分かれた足袋型の靴下は、指を動かしやすく、正座に向いています。お稽古では白い靴下を履くのが基本なので、その中から選びます。
体験のときの服装については、茶道の体験レッスン、前日までに用意するものでも触れています。
家で少し座る時間をつくるのも、慣らしのひとつです。テレビを見る間だけ、といった短い時間で構いません。床が固いとつらいので、クッションを一枚敷くと続けやすくなります。
正座椅子を使うかどうかは、教室によって違います
正座椅子(せいざいす)は、正座の姿勢のまま、お尻の下に入れて体重を預ける小さな台です。折りたためる樹脂製のものや、木製のものがあります。
見た目は正座に近いまま、膝と足首の負担を減らせるので、使っている人もいます。ただ、お稽古で使ってよいかどうかは、教室によってはっきり考え方が分かれます。
- 体の事情がある人には勧める教室
- お点前の形が変わるので、お稽古では使わない教室
- 場面によって使い分ける教室
流派の違いというより、先生の方針による部分が大きいところです。買う前に、まず先生に相談してください。教室によっては、貸してくれることもあります。
また、椅子とテーブルで行う「立礼(りゅうれい)」というお点前の形もあります。立礼の席がある教室なら、正座をせずにお稽古できることもあります。あるかどうかは教室によって違うので、これも聞いてみる価値があります。
先生にどう伝えるか
言い出しにくく感じるかもしれませんが、正座がつらいことは、先生にとっては珍しい相談ではありません。
伝えるときは、できないことより、どうしたいかを話すと進みやすくなります。「正座が苦手で」だけでなく、「膝を痛めていて長く座れないのですが、続けたいです」と言えば、先生も工夫を出しやすくなります。
体験や見学の段階で聞いておくのがいちばんです。教室を選ぶときに、次のあたりを確認しておくと安心です。
- 一度に座る時間はどのくらいか
- 途中で足をくずしてよい場面があるか
- 正座椅子を使っている人がいるか
- 立礼の席があるか
まとめ
- 正座がつらい人は珍しくない。我慢だけで続けるものではない
- 親指の組み替えや体重の移動など、座ったままできる工夫がある(動いてよい場面は先生に確認を)
- しびれたまま立たない。手をついて感覚が戻るのを待つ
- ゆったりした服と足袋型の靴下で、つらさはだいぶ変わる
- 正座椅子を使ってよいかは教室によって違う。買う前に先生へ相談を
- 体験や見学のときに、座る時間や立礼の有無を聞いておくと安心