和菓子を買おうとして「秋のお菓子」で探すと、たいてい的が広すぎて選べません。お菓子の季節は、思っているよりずっと細かく刻まれています。
老舗の菓子店では、生菓子を半月ごとに替えているところがあります。つまり「十月のお菓子」でもまだ大きなくくりで、上半期と下半期では違うものが並んでいることになります。
この記事では、十月から二月にかけての目安と、選ぶときの考え方をまとめます。主菓子(おもがし)と干菓子(ひがし)の違いそのものは主菓子と干菓子はどう違う?にまとめたので、ここでは繰り返しません。
十月から十一月|実りと、炉開き
秋は木の実のお菓子が中心になります。
栗。旧暦九月十三日の十三夜は「後(のち)の月」とも呼ばれ、栗が収穫される時期にあたることから「栗名月」とも言われます。この時期に合わせて栗きんとんなどの上生菓子が作られます。旧暦の行事なので、いまの暦では年によって十月ごろに当たります。
亥の子餅(いのこもち)。十一月の炉開きのころにいただくことがあるお菓子です。炉開きそのものについては炉開きとは|十一月にお茶の世界で起こることにまとめました。
干菓子では、紅葉や銀杏(いちょう)、菊をかたどった型のものがこの時期に並びます。
十二月から一月|年の終わりと、初釜
十二月は柚子(ゆず)のお菓子が出てくる時期です。柚子釜や、柚子の香りを使ったものが並びます。
年が明けると、花びら餅です。初釜でいただくお菓子として知られていて、売られる期間がとても短いものです。これは花びら餅|初釜でいただくお菓子と、その時期に一本まとめてあります。
干菓子では、松や雪をかたどった型、めでたい意匠のものがこの時期に多くなります。
二月|春を先に出す
二月のお菓子は、まだ寒いうちに春の意匠が出てきます。
**椿餅(つばきもち)**は、二月の和菓子として紹介されることが多いお菓子です。源氏物語に登場する古い菓子だという説明もよく添えられています。
**鶯餅(うぐいすもち)**も二月に扱われます。梅はいちばん早く咲く花で、鶯は寒いうちに最初に鳴く鳥なので、春の到来を告げるお菓子として合うという見方が紹介されています。豊臣秀吉が二月の梅の茶会で鶯餅を出したという逸話も伝えられています。
ここに挙げた時期は目安です。お菓子の名前と時期の対応は、店によって違います。同じ名前でも扱う期間が違ったり、その店にはなかったりします。買う前にお店の案内で確かめてください。
選ぶときに見るところ
時期の次に見るのは、この3つです。
濃茶か薄茶か。 濃茶には主菓子、薄茶には干菓子を合わせるのが基本です。お稽古の復習や家で一服飲むだけなら、どちらでも構いません。
日持ち。 上生菓子はその日のうちにいただくものです。干菓子は日持ちがするので、常備しておけます。お取り寄せの日持ちについては家で楽しむ和菓子のお取り寄せに三段階で整理しました。
人数と切り分け。 主菓子は一人一つです。急に人数が増えると困るので、人に出すつもりがあるなら少し多めに考えておくと安心です。
迷ったら干菓子にしておくと外しにくいです。型で季節が分かり、日持ちもします。
なお、お茶会やお稽古で何が出るかは社中によって違います。先生の好みもありますし、その土地で手に入るものも違います。この記事のような一般的な目安と、通っている教室の実際が違っていても、どちらが間違いということではありません。
まとめ
- お菓子の季節は細かい。老舗では生菓子を半月ごとに替えているところもある
- 十月ごろは栗(十三夜は「後の月」「栗名月」)、十一月は炉開きの亥の子餅
- 十二月は柚子、一月は花びら餅。干菓子は松や雪の型
- 二月は椿餅・鶯餅など、寒いうちに春の意匠が出る
- 名前と時期の対応は店によって違うので、買う前に確かめる
- 迷ったら干菓子。型で季節が分かり、日持ちもする